マイナチュレのサプリメントのシナジーで大事なポイント
細胞
細胞
細胞(さいぼう)とは、全ての生物が持つ、微小な部屋状の下部構造のこと。
生物体の構造上・機能上の基本単位。そして同時にそれ自体を生命体と言うこともできる。
細胞を意味する英語の「」の語源はギリシャ語で「小さな部屋」を意味する語である。1665年にこの構造を発見したロバート・フックが自著においてと命名した。
細胞は、生物の原始的な形態である単細胞生物(細菌・原生生物など)では個体そのもの、複雑な多細胞生物では組織を構成する基本的な単位である。全ての生物がこの小部屋状の下部構造「細胞」から成り立ち、一般に「生物の最も基本的な構成単位」と認められ、細胞を持つことが生物の定義のひとつとされることもある。この考えではウイルスやウイロイドは、細胞を持たず代謝を行わないことや自己増殖ができない点などから、生物とはみなされない。
細胞には、細胞質と外界を隔てる膜構造に包まれ、内部には解糖系・クエン酸回路などの代謝する経路などを担い生命活動を恒常的に行う器官を持ち、自己再生と複製をするための遺伝情報とそれを発現させる機能が備わっている。
生物は多様であり、分類するドメインは複数ある。このうち、遺伝を担う共通の物質であるDNAがどのような形態に置かれているかによって、細胞そして生物は2種類に分類される。DNAを保持するはっきりした構造を持たないものを原核生物(前核生物)と言い、その他の細胞小器官(オルガネラ)も持たない。このような細胞は原核細胞(前核細胞・裸核細胞)と呼ばれる。これに対し、DNAを包むはっきりした核を持つ細胞が真核細胞(被核細胞・有核細胞)であり、明確な細胞小器官も見られる。細胞分裂においても、真核細胞が有糸分裂を行うのに対し、原核細胞は行わない。
さらに生物には、一つ一つの細胞が独立して生きていくような単細胞生物から、同じような細胞が集まって群体を形成して一緒に生きていくようなもの、また一つ一つの細胞に分かれては生きていけないほどまでに特殊化した細胞からなる多細胞生物まで、様々な形態がある。
英語「(=小さな部屋)」の命名はロバート・フック著「顕微鏡図譜」「」が始まりとされる。
1665年、彼はコルクガシのコルク層の小片を自作の顕微鏡で観察している時にこの構造を初めて発見し、生物は細胞から作られていると考えた。ただし彼が実際に観察したものは、内容物を失ったあとの細胞壁であった。その後、アントニ・ファン・レーウェンフックが発明した高性能の顕微鏡で細胞観察を行った。
1838年にはマティアス・ヤーコプ・シュライデンが植物組織を、翌年にはテオドール・シュワンが動物組織を観察した結果から、生物は基本的に細胞から構成されているとし、細胞は生物共通の構造で発生の基本単位であるとする「細胞説」を提唱した。細胞説は、細胞がどのように発生するかを説明していなかったが、1855年にルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョーが「細胞は分裂して増える」という説を発表し、1860年にルイ・パスツールが生物の自然発生説を否定し、生物は細胞増殖で成長すると考えられるようになった。
1857年にはミトコンドリアが、1898年にはカミッロ・ゴルジによってゴルジ体が発見された。1950年代頃から電子顕微鏡による観察が盛んに行われ、細胞膜や細胞骨格が観察された。さらに、多細胞生物の組織内部にある細胞についても1951年にHeLa細胞で細胞培養と不死化が成功して以来、観察が可能となった。技術は進み、均一な細胞集団の早い増殖技術、生化学や遺伝学の研究技法の導入、遺伝子組み換え技術や細胞工学的技術の発展、発生生物学技術の進歩などを取り込みながら、細胞の研究は進展している。
細胞は約17種類の元素が含まれる。重量比64%の酸素は水や有機化合物の他に、呼吸で取り込んだ酸素ガスに含まれる。同18%の炭素は有機化合物の他に、呼吸で排出する二酸化炭素中にも存在する。同10%の水素は水や有機化合物に使われる。同3%の窒素はアミノ酸や塩基の原料となる。ここまでの4種類は主要四元素と呼ばれる。
これに続き、神経細胞や細胞調整に使われるカルシウム・染色体やリン酸として使われるリン・ナトリウム・カリウム・塩素・マグネシウムなどが続き、さらに微量元素と呼ばれる鉄・亜鉛・マンガン・ヨウ素・フッ素などがある。
生命に必須の物質といわれる水以外に細胞中に含まれる分子は、主に糖質・脂質・タンパク質(アミノ酸)・核酸の4種に分けられる。
糖質では、単糖のリボースがヌクレオチドの成分として重要である。グルコースはエネルギー源となり、単純多糖化すると植物ではデンプン・動物ではグリコーゲンとなってエネルギー貯蔵能を持つ。セルロースは植物細胞の構造を支え、多糖のグリコサミノグリカンは動物細胞の細胞外マトリックスに多く含まれる。
不水溶性の脂質はグリセロールとのエステルである中性脂肪の形で存在し、エネルギー貯蔵の役目を持つ。また、リン酸と結合した脂質であるホスファチジルコリンなどのリン脂質は細胞膜の主成分である。
生体内においてタンパク質と核酸は、直接に遺伝情報を持つため「情報高分子」と呼ばれる。酵素やリボソームなど生体物質などに使われるタンパク質は、 光学異性体L形に限られた20種類のアミノ酸がペプチド結合を重ね、高次構造を持ったさまざまな種類がある。
核酸は糖の1’位に塩基が結びついたヌクレオシドを基礎に、糖の4’位に結合したリン酸(ここまでの構造をヌクレオチドという)を介したジエステル結合によって連続的に繋がった構造を持つDNAと、そこから転写されつくられるヌクレオチド重合体であるRNAがある。DNAの糖は2-デオキシリボース、RNAの糖はリボースである。また塩基は、DNAではプリン塩基であるアデニン(A)とグアニン(G)およびピリミジン塩基であるシトシン(C)とチミン(T)の4種が、RNAではチミンに代わってピリミジン塩基のウラシル(U)を含む4種が使われる。
全ての細胞は生体膜である細胞膜で包まれ、内部は生体物質を含む水溶液があり代謝の場となっている。リボソーム、細胞質(原形質)といった共通の構成要素を持っている。
外界から内部を隔てる約5nmの厚みを持つ細胞膜は、脂質二重層にタンパク質が結合した構成を持っている。その微細構造は疎水性の脂肪酸に親水性のリンや糖が結びついた分子が、疎水基を向かい合わせてP面を作り、親水基が外側のE面を作って緩く並び、所々にタンパク質が挟まっており、全体が流動している。脂質部分は水や脂溶性物質のみの通過を許し、水溶性物質が通れる箇所は挟まったチャンネルタンパク質に空いた小さな穴のみ限定される上、キャリアタンパク質という箇所はエネルギーを消費して通過する物質を選択する性質を持つ。
細胞が持つDNAは、塩基配列または遺伝暗号 (genetic code)と言うヌクレオチドの塩基部分が並ぶ構造を持つ。この塩基の並びは3つを基本的な単位としており、これをmRNAに転写し、細胞内のリボソームでmRNAの情報(コドン)が翻訳され、それに沿ってアミノ酸が数珠状に合成されタンパク質が作られる。この一連の反応はすべての細胞に共通する基本的な原理であり、そのためセントラルドグマと呼ばれる
細胞はその内部構造から原核細胞と真核細胞に分けられる。これらの最も大きな差異は細胞核の有無であり、原核細胞には細胞核がない。原核細胞には細菌と古細菌が含まれ、真核細胞は真核生物が含まれる。また、原核細胞から構成される生物をまとめて原核生物と呼ぶ。これら3 種類の生物群はドメインと呼ばれる最も上位の分類群で、古細菌と真核生物が近く、細菌が離れている。
原核細胞は真核細胞に比べ、細胞膜の中に懸濁したリボソームがあるだけの単純な構造を持つ。原核細胞は単細胞生物や群体をなす生物に限定して見ることができ、五界説のモネラ界が相当する。真核細胞は、その細胞膜の内側に細胞小器官を有する。ミトコンドリアと葉緑体は細胞に取り込まれた細菌が共生したものに由来すると考えられている(細胞内共生説)。単細胞の真核生物は非常に多様な種類があるが、群体や多細胞生物の種類も多い(多細胞生物の中に含まれる界である動物界、植物界、真菌は全て真核細胞生物である)。なお、原核細胞を裸核細胞、真核細胞を被核細胞と呼ぶこともある。
原核細胞は単純な組織を持ち、細胞を持つ生物の初期の形態を維持していると考えられる。最大の特徴はDNAを含む核様体が膜の区切りが無く細胞質の中に漂っている事と、一般に単位膜で包まれた細胞小器官を持たない事である。DNA は環状で、その一端が細胞膜の決まった箇所に付着している。
リボソームは細胞質中に浮遊したもの(遊離リボソーム)と、細胞膜に付着したもの(膜リボソーム)があるため細胞質基質はザラザラしている。なお原核細胞のリボソームは真核細胞のそれよりやや小さい。
細胞膜は脂質二重層であり、その外側にモリクテス綱とテルモプラズマ綱を除くと細胞壁を持ち細胞内と外界とを隔てている。 エンドサイトーシスやミトコンドリアを持たない原核生物にとって、ここは電子伝達系を始めとした代謝の主要な場であり、盛んに内外との物質のやり取り、エネルギー生産などを行っている。原核生物にとって細胞膜の機能は大変に重要であり、体積に対してある程度の表面積を確保する必要がある。これが原核生物が細胞サイズをあまり拡大できない理由の一つといえる。また細胞壁の存在は、低張液などの条件下での浸透圧による細胞の破裂を防止する。原核藻類(シアノバクテリアなど)は光合成を行う機能を持つ。
この他目立つ構造に、鞭毛や線毛または莢膜や粘膜層を持つものがある。鞭毛はアクチン様タンパク質フラジェリンの螺旋様多重合体であり、これが細胞壁から突き出して回転し、能動的に移動することができる。線毛はタンパク質の繊維で、病原体などが他者へ付着することを容易にする。水を多く含み細胞を取り巻く莢膜や粘膜層は、食作用を受けにくくさせる効果がある。
細菌と古細菌を比較した場合、鞭毛や細胞壁は細菌や古細菌がそれぞれ独立に持つものであり、目的は同じでも両者の構造に共通点はない。また、古細菌の遺伝子発現やタンパク質合成系は細菌よりもむしろ真核生物に似ている(ただしDNA が細胞質中に存在するなど原核生物の基本的な性質は保存している)。古細菌のエーテル型脂質、特にその立体構造の違いは両者を決定的に区別するが、これは細菌と古細菌の違いというより、むしろ古細菌とその他の生物を区別する特徴である。
原核細胞の生理は機能化が進んだ真核生物よりも多様である。発見された数千種に過ぎない原核生物には、真核生物が成しえない硫黄からエネルギーを得るものや、空中窒素固定を可能にするものも存在する。
真核細胞は原核生物よりも一般に大きく、数種類の細胞小器官を持つなど複雑な構造をしている。
細胞質の基質は原核細胞と違ってざらざらしていない。これはリボソームの主要な部分が小胞体に結合しているためである。真核細胞の細胞質には細胞骨格(サイトスケルトン)と呼ばれる微小な管やフィラメント状がつくる網目もしくは束状をした3次元構造がある。これが特に発達した動物の細胞では、細胞骨格が各細胞の形を決定づける。植物の場合、細胞の形は細胞壁による影響が大きいが、細胞骨格が原形質の流動を制御する。細胞小器官はこの細胞骨格に定着しており、浮遊状態には無い。細胞骨格は細胞質フィラメントと呼ばれる3種類のタンパク質からなる繊維に分けられる。また、細胞質フィラメントは骨格的機能だけでなく、分泌や情報の伝達、また運動にも機能すると推定されている。細胞膜は、原核細胞と構成は少々異なる部分もあるが、機能はほぼ同じである。真核細胞では、細胞壁があるものもあれば、無いものもある。
真核細胞のDNA は、一本または複数本の分子から構成される直線状で原核生物よりも多く、染色体と呼ばれる。染色体は、DNA がヒストンという塩基性タンパク質に絡みついた複合体(ヌクレオソーム)を構成してしっかりと凝縮した状態になっている。全ての染色体のDNA は核の中に閉じ込められており、核膜によって細胞質と隔てられている。何種類かの細胞内小器官は、それぞれが独自のDNA を持つものがある。それらは大きさがほぼ細菌に近い事もあり、元々は別の生物だったものが共生によって細胞小器官となったとする考えを細胞内共生説という。
真核細胞生物の中には、繊毛や鞭毛で移動できるものがある。鞭毛は原核生物のものとは構造が異なり、まったく違った性格のものであり、細胞骨格の一種である微小管がタンパク質繊維で結びついたものである。
真核細胞の内部には、細胞小器官(細胞器官、オルガネラ)と呼ばれる膜に包まれた構造体がある。これらはそれぞれ特有の機能を持ち、まるで生命個体の器官のように働くため、このような名称がつけられた。例えば酸素を吸収し二酸化炭素を排出する面から見た呼吸の役割は、ミトコンドリアと比される。消化を高分子を取り入れて加水分解することとすれば、口はピノソーム、消化管はリソソームに相当する。
他に、
なども存在する。
微小管、中間系フィラメントおよびアクチンフィラメントをまとめて、細胞骨格と呼ぶ。
実際には、すべての生物で細胞がこの様な構造が見られるわけではない。原生生物は多細胞生物の細胞と同様に核構造を持ち真核生物に分類されるが、変形菌の変形体やミズカビ・ケカビなどでは大きな体が細胞に分かれておらず、しかも多数の核を含む。これは細胞の成長と核分裂が起きても細胞質分裂が起きないためで、多数の細胞に当たる内容が単一の細胞容器に含まれる。この様な生物は多核体と呼ばれる。同様に多数の細胞に当たる内容が単一の細胞の輪郭に含まれるものは多細胞生物にもあり、例えば横紋筋などがそうであるが、これはむしろ多数の細胞が融合したものと見なし、これを合胞体という。
多細胞生物では、逆に細胞として不可欠なはずの内容を欠く例もある。例えば我々ほ乳類の赤血球には核がない。これはむしろ多細胞生物に見られる細胞の役割分担の中で、なくてもその機能が果たせる場合にはそれが退化することもある、ということであろう。
45億年前と言われる地球誕生後、最初の細胞は40億年前頃に原核生物として誕生した。真核背細胞への進化はその15億年後に成されたが、当初は単細胞生物であった。多細胞生物が誕生するには更に10億年の期間を待たなければならなかった。
原核細胞と真核細胞の大きな差異である核や細胞小器官は、それぞれが膜に包まれ、内容物を閉じ込めている。核では傷つきやすいDNAであり、葉緑体やミトコンドリアはエネルギー転移系、小胞体やゴルジ体は膜合成系と分泌器官系、細胞にとって危険な過酸化水素をつくる酵素ベルオキシダーを閉じ込めるミクロボディや、リソソームはやはり危険を伴う酵素や異物の消化を行う。
このような小器官は複数の発生段階を踏んだと考えられている。葉緑体やミトコンドリアはそれぞれの機能を持つ原核生物を、初期の真核生物が食作用で細胞内に取り込み共生し、現在の姿になったと考えられる。この根拠として、両者は2重以上の単位膜に覆われ、独自のDNAを持ち、原核生物と同じ70Sのリボソームを持ち、また2重以上の単位膜に覆われる点が挙げられる。特に複数の膜は、内側が原核生物時代の細胞膜、外側が真核生物の食作用時につくった窪み部分の細胞膜をそれぞれ由来とすると思われる。
機械的に脆いDNAを守る核も2重の単位膜を持つ。この由来はよく分かっていないが、原核細胞で見られるDNAが付着する細胞膜部分の周囲がへこみ、2重に折りたたまれた単位膜がDNAを覆った球状器官が細胞内部に入ったという意見がある。
小胞体やゴルジ体は1重の単位膜で構成される。タンパク質の合成と分泌に関わるこれら小器官に相当する機能を原核細胞では細胞膜と付着するリボソームで行っている。真核細胞は進化の過程でリボソームを持つ細胞膜の一部を内部に凹ませ、細胞内でのタンパク質合成とゴルジ体そして液胞を使った分泌のメカニズムを獲得したという説がある。同様に1重単位膜のリソソームも、食作用のため細胞膜の一部を異物を取り囲むように腔を作った部分の変化とも考えられる。
多細胞生物は生命活動の役割を細胞単位で分担しているという特徴がある。しかし、このように違う各細胞のDNAは基本的に変わらない。これは、ひとつはDNAの発現部分の選択や後成的な仕組みによってコントロールされる。これらはエピジェネティックと呼ばれる。
地球生物で細胞の大きさを競えるものは卵細胞であり、ヒトが持ちうる最大の細胞も卵子と例外ではない。特に鳥類が産む大きな卵の黄身は1つの卵細胞に当たり、最大と言われるダチョウでは7,500,000,000,000,000μmにもなる。ヒトの卵子は1,400,000μmに過ぎない。
細胞の死は生物が成長する各段階において見られ、例えばオタマジャクシの尾が収縮する例が挙げられる。その死には遺伝子にあらかじめ組み込まれた情報に則ったものから、偶発的な場合もある。自発的な細胞死はアポトーシス、偶発的な細胞死(壊死)はネクローシスと呼ばれる。
細胞中の塩基は波長260nmの紫外線を特異的に吸収する性質を持ち、DNAの塩基構造を変化させることがある。例えば、チミンが並ぶ部分が紫外線を吸光すると、その間シクロブタン環が形成され、対になるグリシンがアデニンに変化する現象が起こる。結果遺伝情報が書き換えられ、突然変異やガン化または細胞死などの異常を起こす可能性が生じる。また塩基構造の変化はDNAの複製や転写を阻害してしまう事もある。
クロイツフェルト・ヤコブ病は不充分な折りたたみ構造を持つ異常タンパク質が引き起こす脳細胞死が原因である。これを含むプリオン病はプリオンは本来水溶性のタンパク質だが、らせん構造が減少しβシート構造が増えた異常プリオンは不溶化し、分解されずに脳細胞に沈着する。これが鋳型となり正常なプリオンを異常化させ、増殖するように振舞いながら脳細胞を死に至らしめる
ヒトの細胞は、最小のリンパ球で直径約5 μm、最大のひとつ卵子は約120 μmある。一般的な細胞は10-20 μmである。かつては人体1kg当たりの平均的細胞数は約1兆個であり、体重60 kgの平均的男性の場合、その身体は約60兆個で作られているとされていたが、細胞の種類などを考慮した計算では約37兆個とされる。
ヒトの体には生殖細胞と体細胞があり、そのほとんどを占める体細胞は約200種で、増殖方法から大きく3種類の組織に分けられる。
代謝
代謝
代謝(たいしゃ、metabolism)とは、生命の維持のために有機体が行う、外界から取り入れた無機物や有機化合物を素材として行う一連の合成や化学反応のことであり、新陳代謝の略称である。
これらの経路によって有機体はその成長と生殖を可能にし、その体系を維持している。代謝は大きく異化 (catabolism) と同化 (anabolism) の2つに区分される。異化は物質を分解することによってエネルギーを得る過程であり、例えば細胞呼吸がある。同化はエネルギーを使って物質を合成する過程であり、例えばタンパク質・核酸・多糖・脂質の合成がある。
代謝の化学反応は代謝経路によって体系づけられ、1つの化学物質は他の化学物質から酵素によって変換される。酵素は触媒として、熱力学的に不利な反応を有利に進めるため極めて重要な存在である。また、酵素は、細胞の環境もしくは他の細胞からの信号(シグナル伝達)の変化に反応することにより代謝経路の調節も行う。
有機体の代謝はその物質の栄養価の高さがどれだけか、また、毒性の高さがどれだけかを決定する。例えば、いくつかの原核生物は硫化水素を使って栄養を得ているが、この気体は動物にとっては毒であることが知られている。また、代謝速度はその有機体がどれだけの食物を必要としているかに影響を与える。
代謝の目的は、以下の4つが挙げられる。
代謝と言う用語は、主に物質代謝をさして使用される場合が多いが、物質代謝そのものはエネルギーの代謝によって起きている。またエネルギー代謝も物質の交代によって起きているので、相互に共役していると考える。したがって、物質代謝およびエネルギー代謝を包括して指す言葉として本記事の『代謝』の正確な定義となる。
物質およびエネルギー代謝などの簡単な定義および位置づけは以下の通りである。
なお、代謝反応のほとんど全ては各々の反応を担当する酵素あるいはタンパク質による。代謝マップにてその基質および生産物のみが描かれているが、その反応自体は酵素が担当している。代謝系において特定の物質ないしエネルギーの偏りが出来ないように基質、酵素化学、発現レベルにおける調節が見られ、その調節機構は非常に多様で厳密である。
物質代謝とは、細胞内における物質の変換を意味する。別名、物質交代など。上記にもあるようにエネルギー代謝との関連により両者を分けて考えるのは困難だが、物質の変換に注目してみた場合の『代謝』が物質代謝である。物質代謝は異化および同化に分けられる。
異化と同化反応は関連している。例えば異化反応である解糖系の逆行は糖新生経路(糖の合成)であり、酸化的クエン酸回路(異化)の逆行である還元的クエン酸回路では炭酸固定(同化)が行われる。また、カルビン – ベンソン回路(同化)は解糖系の一種であるペントースリン酸経路(異化)が還元的に働いたものである。
しかしながら、この両者は反応の方向性とATPあるいは還元型ピリジンヌクレオチド (NADH or NADPH) が生成されるか否かに注目すると容易に区別がつく(ATPおよび還元型ピリジンヌクレオチドの生成を行うのが異化、異化により生成したエネルギーを用いて生体高分子の合成を行うのが同化)。
異化(異化作用)とは外部から取り入れた高分子量の有機物あるいは無機物を水やアンモニアなどの単純な低分子まで分解し、その過程でエネルギーを得てATPを合成する代謝である。現生する生物は地球上に存在するほとんどの有機化合物を代謝できると言われているが、異化代謝系が各々に存在しているわけではなく、代表的なATP生成機構に最終的には集約されていく。それらの機構とは発酵、呼吸、光合成の3つである。光合成はカルビン – ベンソン回路が含まれる場合は同化反応となりうるが、光化学反応においては、NADPHおよびATPが生産されるために異化反応に分類される。またATP合成を主たる目的とした循環的光リン酸化はより異化反応的側面が強い。
発酵は、基質レベルのリン酸化によるATP生成を行うが、電子伝達系を通らずエネルギー効率としてはきわめて低い。しかしながら機構の単純さや酸素が要らないなどの理由から多くの微生物にてよく見られる。なお無酸素運動における筋肉でも解糖系が乳酸発酵へと転じている(筋肉痛)。
電子供与体および電子受容体はともに有機物であり、電子供与体となる還元物質には通常、糖が使用される。しかしながら微生物はある種の有機酸(酢酸、乳酸など)、アミノ酸、ヌクレオチドなどを基質に発酵する能力を有する。
基質レベルのリン酸化によるATP生成の式は以下の通りである。
しかしながら、生じた還元型ピリジンヌクレオチド (NADH) は生物にとっては有害なピルビン酸の異化反応に使用される(以下乳酸発酵の例)。
微生物の行う発酵の電子受容体(産物)としては、乳酸、エタノールをはじめブタノール、酪酸、イソプロパノール、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、アセトンなどがある。
詳しくは発酵を参照。
呼吸は基質レベルのリン酸化過程(解糖系、クエン酸回路)および電子伝達系を通り、ATPの生成を行う。上記の代謝系は電子供与体として有機物を用いる多くの従属栄養生物に見られるATP合成系であるが、最終電子受容体に使用できるのはほとんどが数種の無機物である。また、無機物を電子供与体とする化学合成独立栄養生物の行う呼吸も含まれる。そのような無機物には水素、一酸化炭素、アンモニア、亜硝酸塩、一価鉄、硫化水素などがある。
最終電子受容体として酸素を用いる呼吸を『好気呼吸』それ以外の無機物を用いるものを『嫌気呼吸』という。化学合成独立栄養の場合は、多くは酸素を最終電子受容体として用いるが、嫌気呼吸の電子伝達系を併せ持つものも存在する。なお、嫌気呼吸の電子受容体には硝酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、二価鉄等の無機物や、トリメチルアミンオキサイド (TMAO) やジメチルスルホキシド (DMSO) といった有機物を用いるものもある。
基質レベルのリン酸化は解糖系およびクエン酸回路で発生する。またそのとき生じた還元型ピリジンヌクレオチドは電子伝達系を通って、ATP生成に使用される。基質レベルのリン酸化ではわずかグルコース1分子辺り4分子のATPしか生成し得ないが、電子伝達系においては平均して34分子のATPが生産可能である(ただし計算によっては34分子以上生産されているかもしれない)。
最終産物は酸素を用いた場合は水、硝酸塩は窒素など(あるいは一酸化窒素、一酸化二窒素など)、硫酸塩の場合は硫化水素などである。
詳しくは呼吸、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、嫌気呼吸を参照。
光化学反応は光エネルギーによる電子の励起およびそれに伴う電子伝達によってATP生成が行われる。光合成反応は植物および一部の細菌(光合成細菌;シアノバクテリア、紅色硫黄細菌など)のみが有している。電子供与体には酸素発生型光合成の場合HOが使用される。また酸素非発生型光合成の場合は、硫化水素、水素をはじめ幾つかの有機化合物(プロパノールなど)を電子供与体として利用する。
酸素発生型光合成の場合、水2分子あたり4分子のATPおよび2分子のNADPHが生産される。うち3分子のATPおよび2分子のNADPHを用いて炭酸同化を行う。また電子がピリジンヌクレオチド(あるいはフェレドキシン)に伝達された後に再び電子伝達系に戻る光化学反応を循環的光リン酸化というが、こちらは電子が光合成電子伝達系を回転するために、光励起を受ける限りATP生成が行われる。明条件かつ有機物の少ない環境ではこのような異化反応が見られる。循環的光リン酸化の収支は以下の通りである。
なお、光合成反応は好気的な反応と思われがちだが、必ずしもそうではない。酸素を発生するために好気条件のように見えるが、酸素非発生型光合成を行う光合成細菌のほとんどが極度の嫌気性である(シアノバクテリアは除く)。酸素発生型光合成の起源は光合成細菌の光化学系を起源とするので、光化学反応は『明条件かつ嫌気的な』代謝系である。
詳しくは光合成、光化学反応を参照。
同化(同化作用)とは、外部から取り込んだ物質を生合成する事を指す。ATPや還元型ピリジンヌクレオチドなどの異化反応によって得られたエネルギーを用い、酵素反応を利用し、単純な前駆体を経て核酸、タンパク質、多糖、脂質など複雑な生体高分子さらには増殖を行う過程である。
同化反応は異化のように代謝系に注目するよりも、低分子無機物の取り込み、無機物から低分子有機物の構築、ならびに生体高分子の構築という順に、生体分子の構築過程に注目すると理解しやすい。
なお、無機態の炭素、窒素、硫黄の取り込みを可能にするのは独立栄養生物のみであり、従属栄養生物は生体高分子(有機物)の異化から生合成系へ流れていく。したがって、この点でも異化と同化は関連していることがわかる。
無機態の炭素は主に二酸化炭素として固定される。炭酸固定経路は光合成のカルビン – ベンソン回路や還元的クエン酸回路、メタン生成経路などによる。カルビン回路は光化学反応によって生じたATPおよびNADPH、還元的クエン酸回路はピルビン酸:フェレドキシン酸化還元酵素による、通常のクエン酸回路の逆行、メタン生成経路はATP合成と炭酸固定が同時に行われる。炭酸固定によって生じた生産物は通常は糖としてあるいは異化の中間代謝物として、高次の生合成に組み込まれる。詳しくは当該記事へ。
水圏以外にも豊富に存在する窒素源としては大気中の窒素ガスが挙げられる。窒素ガスは窒素固定という代謝系のみでアンモニアまで還元される。窒素固定は根粒菌などでは呼吸による、シアノバクテリアでは光化学系Iの循環的光リン酸化によるATP生成にて窒素固定が行われる。窒素固定反応は以下の通りである。
硝酸塩は有機物窒素と比べて酸化的であり、同化的硝酸還元と言う過程にてアンモニアまで還元される。
最終産物のアンモニアは下記の系によりアミノ酸に取り込まれる。
また、アンモニアに含まれる窒素の酸化レベルは有機物窒素と同一であり、還元型ピリジンヌクレオチドなどは必要としない。アンモニア同化反応は以下の3つがある。
硫黄は同化的硫酸還元によってタンパク質にチオールあるいはスルホ基として取り込まれる。硫酸塩はタンパク質中の硫黄と比べて還元的であり、アデノシンと結合することにより活性型の硫黄(ホスホアデノシンホスホ硫酸;PAPS)の状態でタンパク質と硫黄が結合する。
Sはその後、システイン、ホモシステインを経てメチオニンに取り込まれる。ただし、硫黄代謝は更に多様であると考えられており、異化型硫酸還元や硫黄酸化などでは、更に複雑な中間体が生じている可能性が示唆されている。
上記の反応により細胞内取り込まれた炭素、窒素、硫黄は豊富に存在している水と化合し、生体高分子の単量体であるヌクレオチド、アミノ酸、糖などの有機物を生合成する。これらの生体高分子のモノマーには前駆体として中央代謝系(解糖系、クエン酸回路)の中間代謝物が用いられることが多い。
核酸 (DNA、RNA) のモノマーであるヌクレオチドはプリン、ピリミジン塩基に五炭糖であるリボースあるいはデオキシリボースの5’位にリン酸が結合している構造をとっている。プリン(アデニン、グアニン)ピリミジン(ウラシル、シトシン)ヌクレオチドはそれぞれ異なる経路にて合成される。まずピリミジンヌクレオチドの合成系は以下のとおりである。
リボース5リン酸はペントースリン酸経路より生じている。またアスパラギン酸は後述するアミノ酸合成系より生じている。カルバモイルリン酸はアミノ酸とリン酸を基質としてカルバモイルリン酸合成酵素により合成される。プリン合成系については以下のとおりである。
上記の過程で合成されたリボヌクレオチド (RNA) はリボース部位が還元を受けることによってデオキシリボースとなり、デオキシリボヌクレオチド (DNA) が合成される。また、DNAにおいてアデニンと相補的塩基対を構成するチミンはピリミジン塩基でありながらはウラシル、シトシンとは異なる経路にて合成される。チミン合成系には葉酸およびコバミド(ビタミンB12の補酵素形)を要求することがわかっている。また、上記の新生経路(de novo経路)のみならず、使用済みの核酸を再利用するサルベージ経路も存在する。
タンパク質を構成する20種のアミノ酸については各アミノ酸の炭素骨格から生合成経路が決定される。アミノ酸は炭素骨格によって以下の『族』に分類することが可能である。
なお、それぞれの族の前駆体および由来する代謝系は以下のとおりである。
なお、上記の例は中央代謝系を基準にしたものであり、中央代謝系以外に回路を所持している、例えば植物などでは芳香族はシキミ酸経路、セリン族はカルビン – ベンソン回路由来のグリセリン酸リン酸より生合成を行う。なお、ヒスチジンのみが上記の族に属さずペントースリン酸経路由来のリボース5リン酸より合成される。
すべての前駆体は中央代謝系に由来するものであり、理論上、糖さえ摂取すればすべてのアミノ酸を合成できるはずだが、マウス、ヒトにおいては必須アミノ酸といわれる一群のアミノ酸を経口摂取する必要がある。それらは芳香族、アスパラギン酸族およびピルビン酸族のアミノ酸である。
糖については、解糖系の逆行である糖新生系にて合成される。また、ペントースリン酸経路においては多種多様な糖が合成される。また還元的ペントースリン酸経路と呼称されるカルビン – ベンソン回路においても同様である。
脂肪酸はアセチルCoAを基質として脂肪酸合成経路にて合成される。アセチルCoAは解糖系に由来するものであるが必要な還元力にはNADPHが使用される。NADPHはペントースリン酸経路より供給され、後述するが異化経路と同化経路の密接なかかわりをここにも見ることができる。
上記の過程にて合成された核酸、タンパク質、多糖の各モノマーはポリマーとなって生体高分子となる。各単量体の名称および結合の名称は以下のとおりである。
ただし、各モノマーが重合するよりもポリマーが加水分解を受ける方が自由エネルギー的に低く、したがって各モノマーは活性化されなければならない。各モノマーの活性化された形状とは以下のとおりである。
核酸にはゲノムDNA、プラスミド、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNAあるいはrRNA、tRNA、mRNAといったいくつかの種類が存在している。遺伝情報を保存したDNAが合成される際は複製という過程にて、生合成が行われる。また、遺伝情報を発現する際に用いられるRNAはすべてが転写によって生合成される。転写された各RNAの共同的な働きにより遺伝情報は翻訳され、タンパク質の生合成が行われる。各過程の詳細な説明は、該当記事参照。
多糖の合成については不明な部分が多いが、糖新生系あるいはカルビン – ベンソン回路にてデンプンが合成される。またもっとも現存量の多い有機物であるセルロースはドリコールというアルコールおよびタンパク質が多糖キャリアーとなって生合成が行われる。
異化と同化による物質代謝は関連している。それらの関連については、異化によって得られたエネルギーを同化に使用すると言う点のほかに、何らかの有機物が不足した際に代謝系の連結によって不足した物質をある程度補えるという点がある。
生物を構成する物質を大まかに分類すると糖(核酸など)、アミノ酸(タンパク質)、脂肪酸(生体膜)となる。いずれの物質も生物にとって必要欠くべからざるものであり、一部の例外(寄生を行う生物など)を除いてはこれらの物質に関する代謝系(異化、同化のいずれも)を有している。それぞれの物質に対応する代謝系は以下の通りである。
これらのうち、解糖系はほとんどの生物が持っている基本的なエネルギー獲得経路であり、クエン酸回路も真核生物ではミトコンドリア、原生生物では膜系で行われる。脂肪酸生合成系の出発物質およびβ酸化の最終産物は解糖系の最終産物であるアセチルCoAである。また、各アミノ酸の分解における中間代謝物質は、以下の通りである。
なお、上述したアミノ酸生合成経路と若干異なる点については、代謝の調節に関わっている(後述)。
中央代謝系を中心としたそれぞれの物質の異化と同化が行われる点について、例えば糖が不足した際にはアミノ酸および脂肪酸を摂取していれば生合成が可能である。脂肪酸の場合も同様で糖、アミノ酸から生合成できる。唯一アミノ酸は窒素および生体成分における硫黄の供給源となるので、ある程度摂取しなければならないが無機態の窒素および硫黄を利用可能な代謝系が存在することは上述の通りである。
エネルギー代謝とは物質代謝に対して生命現象をエネルギーという観点から見た、より熱力学的要素の強い代謝の視点である。具体的には、エネルギー獲得系は光・食物・ある種の細菌では無機物などを元に、ミトコンドリア内膜や葉緑体などの生体膜で H 輸送反応を介して生体のエネルギー通貨である ATP を合成する反応(ATP 合成系)である。エネルギー利用系は、筋肉を動かすミオシン等の収縮性タンパク質やイオン輸送を行うATPアーゼは ATP を加水分解する。分子合成は酵素リガーゼが ATP を消費して行う。
また、この ATP の化学エネルギーをさかのぼると異化によって生じることから独立栄養生物による有機物生産が大元であり、それらの生産は太陽光の還元力(特殊な環境においては地球科学的起源の水素、硫化水素と置き換えても良い)が出発点であることがわかる。太陽光の(あるいは地球に残存した)還元力は生体的な代謝のエネルギーのみならず、石油や天然ガスといった人間活動に使用しているエネルギーをも供給している。
生命の恒常性に際しては異化と同化両方の代謝系の調和が成立しなければならない。代謝系のほとんど全ての反応は酵素によるものであるが、したがって個々の反応の調節がなされなければならない。全ての酵素反応を調節するには、非常に複雑で膨大なシステムの存在をイメージするが、生物はその過程をシンプルかつ最小のエネルギーで行えるよう優れたシステムを構築している。
主たる酵素反応の調節には、以下の 4 つがあげられる。
1. の酵素の局所化については、原核生物の場合は形質膜構造は原則として1つであり、細胞内、細胞外のほか膜内といった区別しかなされない。したがって、原核生物の代謝調節における 1. の依存度は真核生物ほどではない。一方真核生物は、ミトコンドリア、小胞体、リソソームといった多くの形質膜構造からなるオルガネラを有しており、個々の器官において特有の代謝系を有している。例えばミトコンドリアはクエン酸回路および電子伝達系のほかβ酸化系を有している。
2. の異化と同化を別経路に分ける点については上述の異化と代謝のつながりにも筆記している。例えば解糖系と糖新生系は多くの酵素に関しては同一であるが、一部不可逆反応を交えることにより、結果として別経路となっている。また、そのような不可逆反応を行う酵素は酵素活性そのものの調節を受けるアロステリック酵素である場合が多い(後述)。
3. の熱力学的な反応の調節については、基質の濃度差の変化に伴うケースが多い。例えば A→B→C という反応が存在し、細胞のフェーズとして C が必要であるとすると A あるいは B を何らかの形で外部から摂取し、細胞内の A あるいは B の濃度を高めることで C の生合成を助ける。その結果、最終的に C が使用されなくなり C の濃度が細胞内で増加したとすると B→C の反応は濃度差の解消により化学平衡に達する。B と C 間の反応が可逆であり B の濃度が減少すると今度は C から B へと反応が起きる。
4. の酵素活性そのものの調節や酵素の発現量による調節は特に後者は原核生物にて、非常によく研究が進んでいる。酵素活性の調節はアロステリック効果をはじめとした最終産物阻害を中心に、複雑なカスケード系あるいは酵素そのものの化学修飾(一例としてプロテインキナーゼを参照)などがある。酵素の発現量による調節はジャコブとモノーのオペロン説を中心に遺伝子発現と生体成分の協同的なモデルがある(一例としてラクトースオペロンを参照)。
上述の糖、アミノ酸、脂肪酸に関連した異化同化の両反応およびそれらに関するエネルギー代謝を中央代謝あるいは一次代謝という。対して、それらの中央代謝系から外れた生命維持における役割の不明な物質を生産する特定の生物に限定的な代謝のことを二次代謝という。
二次代謝産物としては、以下のような物質があげられる。
これらにあげたのは一部であり、生物界には未分類の微量生体成分が非常に多数存在すると言われている。二次代謝産物の多くは顕著な生理活性を示すものが多く、毒物や薬物として分類されるものも多い。
生物は薬、毒物などの生体外物質(ゼノバイオティクス (Xenobiotics)、異物ともいう)にさらされており、これらを分解あるいは排出するための代謝も行う。
商品
商品
商品(しょうひん、)とは、経済活動において生産・流通・交換される物財のことである。
商品には具体例として食品や衣類などの物のほかに、法律相談や郵便配達などのサービスや、証券などの権利、情報などが含まれる。
販売する物財に主眼を置く場合には、商材(しょうざい)とも呼ばれる。
マルクス経済学において、商品とは私的な交換を目的とした財・サービスである。交換の対象ではなく、生産者自身によって消費されてしまう財・サービスはそもそも商品とはなっておらず、交換関係の中で商品という存在は成立している。
また商品は、人間のニーズを充足させる性質である「使用価値」と、あらゆる商品と交換可能性を持つ性質である「価値」を持っている。この価値は社会一般的に必要な労働時間によって決められるものであり、生産性が高まれば価値は低下するという性質を持っている。
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